桜の季節、優美な富士山求めて
4月の第1週、1泊2日の日程で山梨県へ研修旅行に行ってきました。3年ぶりとなる研修旅行ですが、今回のテーマは何と言っても「富士山」。平成25年6月に世界文化遺産として登録され、大体的なニュースになったことは、記憶に新しいのではないでしょうか。
折しもこの時期は桜が見頃とあって、富士山を背景にしながら見る桜に俄然気持ちは高まります。しかし、この日の天気予報は、曇り時々雨。降水確率は60%とかなり高め。雨が降って富士山が見えず、桜も散ってしまうのではないかと、気が気ではありません。
この旅行が思い出深いものになるかどうかは、天気に大きくかかっています。しかし、不安は現実のものに…。富士山に近づくにつれ、雨が降りはじめたばかりでなく濃い霧まで立ち込め、とうとう新幹線からは見ることはできませんでした。
富士山の雪解け水が湧き出る、神秘的な8つの湧水池「忍野八海」
しかしチャンスはこれから!と、気を取り直して最初に向かったのは忍野八海。富士山の伏流水を水源とする湧水池が点在する観光スポットで、「おしのはっかい」と読みます。この日はアジア圏内から多くの観光客が訪れ、賑わっていました。日本人に限らず富士山は海外の方にとって、人気の観光地のようです。
忍野八海がある忍野村は山梨県の南東部、富士北麓にあって、周囲を山に囲まれた高原盆地です。涼しい気候を活かして夏は、なすやきゅうり、トマトなどの高原野菜がつくられていて、中でもとうもろこしは、甘味が強く味が良いことから人気があるそう。
村の家の軒先にはたくさんの数の、とうもろこしが吊り下げられていました。よく見てみると、普段私たちが口にしているとうもろこしと何だか少し様子が違います。色が濃く、粒に光沢があり、触ると硬い。これは「甲州とうもろこし」と言って、戦前から雑穀として栽培されている伝統野菜なのだそう。私たちになじみ深い甘くて柔らかいスイートコーン(甘味種)に比べ、甲州とうもろこしは、フリントコーン(硬粒種)という種類で、硬いデンプンが粒の全体についているのが大きな特徴です。メキシコ料理のタコス「トルティーヤ」に使われていると言ったほうが、ピンとくるでしょうか。忍野村では、粉にしておやきなどの郷土料理に使われるそうです。
富士山の雪解け水が地下の溶岩の間で、数十年の歳月をかけてろ過され、湧水となった忍野八海は、8つの湧水池で構成されています。飲用できるほどきれいな湧水は、「全国名水百選」にも選ばれていて、その水を利用したコーヒーや豆腐などのグルメが楽しめます。コーヒーは雑味がなく、さっぱりした後口で美味。やはり水が美味しいと、素材が持つ良さを際立たせてくれるような気がします。
さて、忍野八海を充分に散策した後、ぼんやりしていると急に陽が差しはじめ、それまで厚い雲に覆われていた富士山の山肌が徐々に見えてくるではありませんか!絶好のチャンスとばかりに、すかさずシャッターを切ります。残念ながら頂上付近までは見えませんでしたが、山腹にまだ雪が残った富士山を見ることができました。
四季折々の日本庭園が自慢の富士山が見える温泉旅館「鐘山苑」
忍野八海を後に向ったのは、15分ほどの距離にある温泉旅館「鐘山苑」。四季折々の日本庭園が自慢の宿で、部屋やお風呂からは富士山を見ることができます。
夕食までまだ時間があったため、お風呂に行くことに。お風呂は高アルカリ泉の天然温泉で、効能としては高血圧や動脈硬化症、冷え性や疲労回復、健康増進など嬉しい効果があります。
屋上にある露天風呂は、富士山が一望できるというのが売り。「温泉に浸かりながら富士山が見ることができるなんて、なんて贅沢」と、大きな期待を胸に急いで行ってみました。すると目の前には先ほどより大きく、全体をほぼ表した富士山が見えるではないですか!初めて真近に見るその大きさに圧倒される感じはなく、むしろゆったりとした姿に、やさしさのようなものを感じました。
何にせよこの悪天候の中、2回も富士山を拝めることができたのは幸運でした。山の神様の機嫌が良かったのでしょうか。
お風呂を楽しんだ後は、美味しい会席料理で親睦をはかり、その後の自由時間では湯冷めした体を温めに温泉に浸かったり、地元のおいしいお酒「甲州ワイン」を楽しんだり、ゲームに興じたり。それぞれが思い思いの夜を過ごし1日目は終わりました。