先月末、富山県へ大豆を意欲的に栽培されている生産者さまのもとへ取材に行ってきました。

富山県では水田農業の基幹作物として大豆の生産振興を図っていますが、近年、異常気象などによって収量・品質が低下していると言われています。その一方で、大豆加工メーカーを中心とした市場関係者からは高品質な大豆の安定供給を求められるという実状にも直面しているようです。

また国においても、食料自給率・自給力の向上を図るため、戦略作物である大豆などの本作化を進めるべく生産者の取組み支援に力を入れており、平成32年度には麦・大豆等の作付面積を65万haまで拡大することを目標に、さまざまな施策を打ち出しています。

そのような背景の中、品質・収量向上を図り、「売れる大豆づくり」を行う生産者さま。そこには、様々なアイディアと工夫がなされていました。

太陽の光を浴びて、勢いよく育つ大豆

太陽の光を浴びて、勢いよく育つ大豆

生産者さまが一生懸命育てられている大豆ですが、転作を推進するためにお米をつくる田んぼで大豆をつくる傾向が全国的に広まっています。しかし、本来畑作作物である大豆を水田でつくるというのは、とても難しいことなのです。大豆は花が咲く前頃になると大量の水を必要とするのですが、播種から発芽時期の大豆は水に弱く、湿害に遭ってしまうと、芽が出なかったり、雑草が生えたりして、大豆が思うように育ちません。

そこで大切になってくるのが、「排水対策」と言われるものです。田んぼの表面に溜まった水を素早く排出することと、地下水位を下げること。この2つが重要なポイントとなってきます。

まず、田んぼの表面に溜まった水をいかに素早く排出させるか。これは、「地表排水」と言われますが、あぜに沿って田んぼの周りにぐるりと溝を切り、その切った溝に水が流れるようにすることで、問題の解決を図っています。

雨が降った時など、田んぼの水を排出するため、溝を切ります

雨が降った時など田んぼの表面に溜まった水を素早く排出するため、溝を切る

次に「地下水位を下げること」ですが、これは田んぼの中に、余分な水が流れていく溝を切っていく作業になります。田んぼの周りにつくった排水溝と、田んぼの中に切った溝を排出口にきちんとつなげて、排水対策は完了です。

排水対策は、作付けする田んぼが、粘土質だったり、水分が多いと、なおさら必要になります。地域によって田んぼの土壌条件は違ってきますから、対策はさまざまあり、機械も異なるようです。

大豆づくりは、畑づくりから。水はけの良い圃場づくりが完了して、はじめて大豆をつくる準備が整ったと言えるのです。

大豆は出芽するまで、多くの水を必要としません

排水対策がきちんとされた畑では、大豆はよく育つ

 (M.F.)